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精一杯の捨て台詞を吐いて部屋を出ていった。急展開についていけなかった取り巻きが慌てて追い掛ける。
瑠珂と二人、取り残された。
「……はぁ」
未だ保たれた二歩分の距離に、瑠珂の気まずさを感じた。ひとまず礼を言う。
「ありがとな、瑠珂」
「ううん。間に合ってよかった」
「瑠珂」
「うん」
聞きたいことも話したいこともたくさんあった、のだが。
「立てない……」
「えっ!?」
どうやら腰が抜けてしまったらしい。何とか立ち上がろうと奮闘していたら、瑠珂が吹き出した。すぐそばにしゃがみ込んでくる。
「もー。まぁくんは可愛いな。直るまで一緒に待ってあげる」
「笑ってる瑠珂のほうが、可愛いよ」
その屈託のない表情に感激して、真顔で告げていた。瑠珂はぱちぱちと目を瞬かせたかと思うと、ついに声を出して笑い始める。
今じゃないかもしれない。でも今言いたい。
「運命のオメガが他にいたかもしれないのに、僕を選んでくれてありがとう。すごく嬉しい」
刹那、二人を取り巻く時間が止まった。
瑠珂の飴玉のように艶めく瞳が和真を捉える。和真もまっすぐ見つめ返す。
(あ、)
飴玉が溶け出して、瑠珂の頬を伝った。上半身は動かせたので、舌でその雫を掬う。
(甘い)
砂糖細工のような瑠珂の身体を、ぎゅっと抱き竦めた。
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