4 忘れたくない普通の日

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 それは悪いことをした。可及的速やかに埋め合わせしなければ。もっとも、瑠珂との話が済んでからだが。 「で、瑠珂はどこにいたの?」 「んー? 別のお店かな」 「部屋の鍵はどうやって」 「普通にフロントのおにーさんに頼んで開けてもらったよ。おれも乱交パーティーするからって」  ぺろりと舌を出してみせる。南央斗たちの仲間の振りをしたわけか。 「おれも質問していい?」 「……うん」  瑠珂は質問権を確保してから、にじにじと体勢を変えた。和真の腿に頭を載せて見上げてくる。これでもう逃げられない。 「なんでナオとあんなことになったの」 「……僕が、ちょっかい出したから。瑠珂と一か月何もなかったら、好きにしてもいいって」 「ふうん……」  淡々と、事実のみ告げるつもりが、声が震える。瑠珂の睫毛も戦慄いていた。 「それでナオってば先月くらいから急に連絡してこなくなったんだ」 「でも、何もなかったよ」 「何も?」 「何も、と言えば、何も」  判定基準次第ということにして濁す。瑠珂もまったくの潔白ではないからか、それ以上踏み込んではこなかった。  不意の沈黙に、瑠珂の髪へと手が伸びる。瑠珂の手も和真の眼鏡へ伸びてきた。何とか回収したもののフレームが曲がってしまい、明日にでも修理に出さねばならない。     
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