4 忘れたくない普通の日

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「あの人ねえ、ホントは二十六歳なの。たまたまナオと同中だった友だちに卒アル見せてもらってびっくりしちゃった。自分がベータのはずがない、アルファに覚醒するんだって信じるあまり後に引けなくなっちゃった感じ?」 「はー……」  確かに二十歳にしては度胸があると思った。でも自分より歳上だと思うと、もう少し分別があってもよいようにも思う。どちらにしても、瑠珂が歳上を好むこと――いや、和真が歳上に好まれることを考えれば、妙に納得した。 「ベータが平和でいいのにな」 「ね」  顔を見合わせて笑う。それだけでこんなに楽しい。たとえ恰好悪くとも、全力で瑠珂との一秒一秒を楽しむ。それでよいのかもしれない。  その後も、和真は瑠珂といろいろな話をした。  たとえば、気になったのに聞かなかった話。 「今まで君が……その、自分に乗り換えさせた人って、本当に皆僕に気があったのかな。いや、疑ってるわけじゃなくて、純粋な疑問として」 「気があるときにする表情とか態度とか大体わかるでしょ」 「……モテなかったからわからない」 「わかんないだけでモテてたんだって。まあ、皆おれが諦めさせたからモテなかったとも言えるかも」  たとえば、絶対知られてはいけないと思ったのに意外と大丈夫だった話。 「まぁくんさ、千石せんせとシた?」 「ええと。……ちゃんとゴムしたよ」 「そういう問題じゃないー!」 「瑠珂もしたんだよな?」 「ちゃんとゴムしました」     
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