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「だろ。だからさ、友達としてひとつ、言っときたいんだけど」
「何?」
「おまえ、自分が姫のことどんなふうに好きかわかってる?」
洋佑が顔を上げた。その眼差しがあまりに真剣で、怯みそうになる。でも男として、洋佑の友人として、瑠珂の恋人として、絶対に退いてはいけない。
「それ、最近すごく考えてる。でも一人だけで考えないようにもしてる」
飾っても仕方ないので現状を告げれば、洋佑はとすん、と椅子に背中を預けた。
「やっと及第点ってとこか。もうすぐ交際三周年だってのに、最近まで偶像崇拝みたいだったもんな。まあ、俺もおまえと六年間友達やってきたのにちゃんとわかってなかったから偉そうなこと言えないけど」
偶像崇拝、とは痛いところを突かれた。自分に向けてくれる綺麗な面だけ見て、その内側が傷つき疲弊しているのを気づけなかったのだ。
時間を掛けて考えてきたからこそ、納得した。和真にとって瑠珂は、「姫」ではなく「瑠珂」だ。何かとルーズでも意地っ張りでも不器用でも。
「洋佑」
「ん?」
「僕は最高の親友を持った」
「わかればよろしい。じゃ、俺は芙優ちゃんのとこ戻るわ」
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