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「そもそも、後期試験が間近に迫ってるっていうのに、そんなことしてる暇があるわけ?」
わたしを薄情呼ばわりしたのは加弥子である。しかし、これはこれで、正論であった。
○
大学図書館の清閑な雰囲気は、試験を目前にした学生たちの熱気に追いやられていた。かくいうわたしも、騒然とした雰囲気を醸し出す一員となっている。
後期試験初日まであと二日。同じ学科の友人たちで勉強するため集まっているのだ。いち早く図書館へ来た友人が六人掛けの広いテーブルを確保してくれたおかげで、ノートやプリント、先輩から入手した過去問などを思う存分広げられる。居眠りして取り損ねたノートを補完したり、過去問とにらめっこしたりしていたら、加弥子が現れた。補講があったので、合流が遅れたのだ。
「晶。どうしたの、その格好」
空いている椅子にコートをかけた加弥子は、わたしを見て眉をひそめた。ほかの友人たちが苦笑いする。
「だって、寒いんだもん」
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