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薄く目を開けると、カーテン越しに外が明るいのがわかった。もう朝か。ほとんど覚醒していない頭が告げるが、起き上がるには至らない。
連日遅くまで試験勉強をしていて、昨夜――というよりも今日、寝たのは四時頃だった。このただならぬ眠気からして、まだ二、三時間しか寝ていないのではないだろうか。こたつで勉強し、そのまま座椅子の背もたれを倒して寝ていた。そのせいで眠りが浅く、スマートフォンのアラームが鳴り出す前に目覚めたに違いない。
あとどれくらい寝られるだろう。
狭いワンルームはひんやりと寒い。こたつの中だけが別世界のように温かくて、そこから腕を伸ばすだけでも相当の気力が必要だ。最低限の露出で済ませるために、寝転んだまま一方の手でこたつ布団をしっかりとつかみ、もう一方の手を伸ばして机上を探る。指先がすっかり冷えているスマートフォンに触れた。
あくびをかみ殺しながらディスプレイを見て、一瞬で眠気が吹き飛んだ。
「うそっ、もうこんな時間!?」
画面のデジタル表示が八時五十六分に変わった。
アラームはセットしてあったが、二度寝してしまったのだろう。だが、そんなことはもう問題ではない。
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