第99階層・続

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「あっさり。魔法の子だけはいい声だったんだけどな」 あたしはディスプレイに見入るのをやめた。 寝る前に挨拶だけしとこうかな。 モノ・アイと上に表示されている目玉に近づく。 「もう今日は誰も来ないねー。おやすみ」 メッセージを残しておいた。 ログアウトしなくても自動で反撃する。 モノ・アイだけは例外として。 まだ改良の余地はある。 VOIDに関連した情報は自動で集まるようにしてある。 チラ見した。 「また禁止かぁ」 知るもんか。 PKし放題。やりたきゃやるでしょ。 そもそも経路を遮断したかったらネット全部切れ。 VOIDを作ったのは元々はセキュリティソフトの会社の社員だ。 アカウントを切り替える。 ヘッドセットを付ける。 ファイアリー・フェアリー・フィーンドのHUDは表示させておく。 一階から行くかな。レベルを1に見せかける。 こんな表示用数値なんてどうにでもなる。 寺院前。 凄い雑踏は変わらない。吐き気がする。 いつも通り空はどこまでも青くて、一年中初夏みたいだ。 今日はシンプルに殺そう。 アバターには自信がある。どうにも暇なときはアバター作りだけに集中する。 見た目、上から4つ目くらいの魔法使いにした。 PKを繰り返すと「罪」が溜まるから消してある。 木陰で座っていた。 「一人?」 来た。まあまあの剣士。初期装備。 「始めたばっかりで」 「じゃさ、案内するからB1F攻略してみようよ。レベルも上がるよ?」 「いいんですか?」 「前は任せて。後ろから撃ってるだけでなんとかなるよ」 普通にいい人かも知れない。すまねえ。まあ死んどけ。 あまり慣れていない足取りで雑踏を抜けていく。 だろうね。壁かよお前ら。
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