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「あっさり。魔法の子だけはいい声だったんだけどな」
あたしはディスプレイに見入るのをやめた。
寝る前に挨拶だけしとこうかな。
モノ・アイと上に表示されている目玉に近づく。
「もう今日は誰も来ないねー。おやすみ」
メッセージを残しておいた。
ログアウトしなくても自動で反撃する。
モノ・アイだけは例外として。
まだ改良の余地はある。
VOIDに関連した情報は自動で集まるようにしてある。
チラ見した。
「また禁止かぁ」
知るもんか。
PKし放題。やりたきゃやるでしょ。
そもそも経路を遮断したかったらネット全部切れ。
VOIDを作ったのは元々はセキュリティソフトの会社の社員だ。
アカウントを切り替える。
ヘッドセットを付ける。
ファイアリー・フェアリー・フィーンドのHUDは表示させておく。
一階から行くかな。レベルを1に見せかける。
こんな表示用数値なんてどうにでもなる。
寺院前。
凄い雑踏は変わらない。吐き気がする。
いつも通り空はどこまでも青くて、一年中初夏みたいだ。
今日はシンプルに殺そう。
アバターには自信がある。どうにも暇なときはアバター作りだけに集中する。
見た目、上から4つ目くらいの魔法使いにした。
PKを繰り返すと「罪」が溜まるから消してある。
木陰で座っていた。
「一人?」
来た。まあまあの剣士。初期装備。
「始めたばっかりで」
「じゃさ、案内するからB1F攻略してみようよ。レベルも上がるよ?」
「いいんですか?」
「前は任せて。後ろから撃ってるだけでなんとかなるよ」
普通にいい人かも知れない。すまねえ。まあ死んどけ。
あまり慣れていない足取りで雑踏を抜けていく。
だろうね。壁かよお前ら。
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