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異常なくらいリアルなアバターがVOIDのウリでもある。
VRMMORPGでは間違いなく一位。
綺麗なアバターだと未だに見蕩れるくらいだ。
神殿は見慣れたけれど荘厳な雰囲気は感じる。
正直、没入すれば現実並みだ。
フルオート。追跡。剣士。右手が半自動気味にコマンドを打つ。
「待ってえ」とか言わせてみる。
「ごめんごめん。この先にパーティーのメンバーが居るんだ」
へー。
ただのオフ狙いじゃなさそうだ。
剣士二人。片方はタンク。
僧侶。
「どうも。始めたばっかりですけど」挨拶する。
折角だから殺すまでは没入する。
プレートアーマーを着込んだタンクはレベル5。
歴戦の勇者という風格がある。
「男ばっかりでさー」
タンク、正直過ぎだろ。
気持ち悪くなる前にやめとけそういうの。
「まだファイアボールⅠなんですけど、邪魔しないように頑張ります」
頭を下げる。
大嘘だけどね。
――連携は取れていない。けれども役目は心得たタンクが前で攻撃を受け続ける。
あたしを誘った剣士は一撃特化型だった。ザコをオーバーキルしながら数は減らしている。
僧侶は本物の初心者なのか、消極的殺人者なのか、何にもしていない。
「右が薄い気がします。あと、タンクさんへのHP供給、出来ますか?」
初心者らしからぬ発言だけれどもギリギリまでは戦おうよ。
「ぼーっとしてました」
だろうね。
僧侶がタンクに治療をかけ続ける。他のコマンド知らなくていいよ。
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