第99階層・続

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「え……ほらちょっと休暇申請するとか……」 「じゃあ代わりにやってくれるって言っとこうか」 コーヒーをかけられた。熱いんだよ。クリーニング代出せよ。 それから毎日、友達のフリをした誰かがあたしを懐柔しに来た。 「コンピューター業界って厳しいよねえ。でもさ、バランスを」 「それ部長に言ってくれない?」 断じて最初っからそんな言い方はしていない。 談笑して、にやにや笑われて、解決法は一つ。取れない休みを取れ。 「正直に言うけどさ、部長から帰るなって言われてるんだ」 「えー。思い込みじゃない?」 「ボイスレコーダーあるよ」 そこで全員消える。 誰が妄想で残業なんかするんだよ。 「ねえボイスレコーダーもさ、思い込みじゃない?」 さすがに参った。 お前コンピューター会社勤務だよね。 全員がくすくす笑うようになって、誰も手伝ってくれなくなってからしばらくしてあたしは壊れた。 「誰かが悪口を言っているように聞こえる。うーん。なるほど。分かりますよ」 なんでお前は薄笑いしてるの? 産業医。 「しばらく休んだ方が良いですね」 へっ。ありがとよ。 診断書は統合失調症だった。 ふざけるな。あたしの症状は鬱だ。 眠れない。二時間後に起きる。(それで出勤にはちょうどいい) 希死念慮しかない。
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