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「ずっとあおいさんに会いたかった」
ハヤショーは言う。
「私も、ハヤショーさんにお話ししたいことが沢山あります」
ハヤショーの顔を一目見たら、この二ヶ月の間の胸のつかえのようなものが一瞬で消えた。なんだか胸がいっぱいになって、何も言えなくなった。
今までのつまらないことや酷いことは全部、今日ここに来るために、あなたに出会うためにあったのだと思った。
この二ヶ月、いつも持っている通勤カバンに漬物石を入れて背負って生きていたようなものだった。それを降ろすことができたのだ。やっと私は自分を取り戻すことができたのだと思った。
それに気づいてしまうと、私は少し泣きそうになってしまった。そして、ハヤショーはいつものように言う。
「ちょっと、泣くのは、やめてね。俺が泣かしたみたいになるから」
いつものように、ちょっと迷惑そうに。
私たちは見つめあった。そして二人同時に笑い出した。
そしてハヤショーが言う。
「あおいさん、飲みに行こうか」
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