数学ノ章

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「俺はご飯派だ。ちなみに、日本でパン派はレアな存在だと思ってる」 「毎日購買でパンを買うくせに」 「こう言う時の派閥って、朝ごはんで分類されるんだぞ」 「それなら私もご飯派だね」 「全くだ。妖狐がご飯を食べるとは思わなかったがな」 「ちなみに、シャケほぐし補充しておいてね」 「お前が来てから倍速で減っていくんだから。もうそろそろ怪しまれそうなもんだ」 「怪しまれる根拠がシャケほぐしって……、そんな妖になりたくはないね」 「ちなみにパンの枚数が減っている方がバレると思うがな」 「私は食べたあと、きちんと食器を洗って直す、分別のある狐だからね」 「分別が無ければお前を家に入れないよ」  彼女の尻尾が触れ始めたように感じる。  見えていないから感じるだけなのだが。 「話を戻すけど、数学について考えることは好きなんだね」 「ああ、大好きだ。ま、プロに比べればあんまり考えたことはないんだが、そこに存在しないことを発見するって、すごく難しいことだと思わないか?」 「存在しないことを発見?」 「数字で言えば、ゼロの事だ」 「私、ゼロの概念もイマイチわかっていないんだよね。ゼロってどう言うことなの?」 「稲穂から稲穂を引けばゼロになるぞ」 「つまり、私がいなければゼロなの?」     
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