数学ノ章

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「ぐ。痛いところをついてくるなあ」 「どこらへん? おへそ?」 「どんな変態だよ、俺は……って、狐にもおへそはあるのか?」 「おへそはあります。見たことなかったっけ?」 「そういうところって意識して見ないとわからないもんだろう?」 「ひどい! 数学についてそこまで知ってて、私のおへその存在を知らないなんて!」 「なに張り合ってんだ。それに、お前のおへその存在価値なんてもう終わってるだろう?」 「おへそは生まれてからもチャームポイントなんだよ!」 「そうですかすごいですね」 「適当に返事しない! 全く、女性の見所がわかってないわね」 「狐の女性、だけどな」 「妖狐の女性!」  僕がため息をつくと、彼女は頭の中で再び語りかけてくる。 「で、どうして泉は数学が苦手なの?」 「計算が苦手なんだよ」 「なんで? 普通に計算とかできそうなのに」 「生まれつきな。だから来年からは文系に行って、数学とはおさらばだ」 「おさらばしても、泉の場合、数学については考えるんでしょう?」  僕はその瞬間、数秒間考えてから、彼女に向けて言葉を発した。 「ある意味、数学はそういう点においてもすぐれているのかもしれないな」     
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