数学ノ章

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「でも、パンのことについて考えているほうがいいって言ってたよね?」 「その言い方だと、俺がとんだデブみたいじゃないか」 「ま、でも私は、ご飯について考える方が楽しいけどね」 「狐が太ったらどうなるんだろう……」 「太らないよ!」  最近、彼女を身体に憑依させた時、以前より重く感じている原因を察した。 「最近憑依された時、重いんだが……」 「気のせいだから!」  彼女は僕の中で必死に首を振った。 「さーて、プリント回収するぞー」  教員がそんな言葉を告げる。僕の目の前には、問題なんて一つも解かれていない、リンゴの書かれたプリントが一枚。 「とりあえず急いでエックスの中に数字を入れないと!」 「幸い、エックスはなにを入れてもいいからな。って、最後の問題は論証問題じゃないか」 「論証問題ってなに?」 「俺の得意分野だ」  僕は仕方なく、白紙のプリントを提出した。
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