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確率ノ章
「確率」とは、一見信用できるようで、信用できないものである。
「あー! 夕日が見えた!」
「人間理論だと、明日は晴れそうだな」
「何それ、根拠がない上に随分と粗だらけの理論ね」
「いや、それが意外と当たるんだよ」
僕は自分の家の鍵を取り出して、解錠してから扉をくぐった。
「またそんな、簡単に当たるわけないじゃない。だって、夕日が見えただけだよ?」
「そうだな。天気雨になっただけで、狐の嫁入りだーって騒ぐのと同じくらい穴だらけの理論なのかもな」
「ちなみにその時にいつも狐が嫁入りしているわけではありません」
「人間って馬鹿だなあ……、自分も含めて」
「でも、たまに嫁入りしている時もあるようです。当社調べですが」
「人間が調べるよりは全然説得力があるな」
「でも、そんなに適当なら夕日の次の日に晴れるって理論も間違ってるんじゃない?」
「どうかな。でも、なーんか夕日の次の日は晴れるんだよなあ」
彼女がテレビをつけると、男性のお天気キャスターが言葉を発していた。
「明日は日本列島全体が低気圧に覆われ、全国的な雨模様となるでしょう」
「ほーら、ね?」
「勝手に和了るな」
「今更だけど、麻雀牌って何でできてるんだろう……」
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