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「いや、次のお揚げさんチャンスをみすみす見逃すなんて、十分失うものとしての価値はあるわ」
「ちなみにその賭けには乗らない。勝ったって俺に何の得もないからな」
「次のお揚げさん代が浮くかもよ?」
「次、もう一度お揚げさんを買ってやる機会を作らないと、その権利が使えないじゃないか」
「なるほど、もう機会は少ないと」
「そんな震えながら言うなよ。普通に買ってやるから」
「じゃあなんで賭けてくれないの?」
「さっき言った二つで価値が相殺されるから。でも、そうだな。もし俺が勝てば、稲穂が家の掃除をするってんなら、やってやろう」
「やるー!」
「絶対するんだぞ?」
「でもでも、私が勝てばお揚げさんでしょ? それに、人間様の誇る科学で、80パーセントの確率で雨が降るって言われてるのよ?」
「俺は夕日が出たから降らないと思うがな」
「またまたー。人間様が嫌う迷信なんかに頼っちゃって」
「稲穂の存在自体も迷信じゃないか」
「それは言わないお約束」
「ま、明日になればわかるさ」
「なんで? まったく、泉が自信満々だと不安になるわ」
「まあ、80パーセントとか、夕日とか、正直どうだっていいんだよ」
「えー。この人間はまたなんか言い出したよ……」
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