緊張ノ章

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「へへ。私は女の子!」 「なんだ、その反応。気色悪い」 「じゃあ、泉は私と喋る時は緊張するんだね! まったく気づかなかったよ」 「はいはい。今も緊張しすぎて泣きそうなくらいだ」 「で、緊張している泉さん、自己紹介の意気込みをどうぞ」 「心臓の勢いに流されないよう、注意したいと思っております」 「いいねえ。その表現。メモメモ」 「お前、俺の身体の中にメモまで持ち込んでんのか?」 「さあ、妖のみぞ知る」 「メモ帳程度で妖ぶるな」 「おおーっと! 自己紹介、泉さんの番まであと二人となりました! 今のお気持ちを」 「とりあえず、憑依している狐がうるさいですねー」 「女の子でしょ? まったく」 「あれ、今日は妖狐だって、否定しないんだな」 「あ、ノーカンで」 「九尾の狐も程遠いな、こりゃあ」 「ところで心臓の勢いのほどは?」 「もうバクバクです。加速する一方です」 「あ、どうして緊張したら、心臓は加速するんだろね」 「稲穂はどう思うんだ?」 「心臓が急かしてるんじゃない? 早くしてって、早く終わってって」 「ほう。ということは、妖狐も緊張することはあるんだな」 「そりゃあ、先輩妖狐に会う時とか、九尾の大先輩に会う時は緊張するよ」 「上下関係があるんだな」     
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