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大地ノ章
「大地」はしばしば蔑ろにされている。
「いやはや、疲れたね」
「俺も、足がクタクタだよ」
「クタクタって、とってもフィーリングティックでステキな表現だよね」
「俺はどちらかというと、フィーリングティックという言葉にフィーリングを感じたがな」
流石の五尾の狐、稲穂ですらも膝に手をついている。尚、僕はすでに地面に座っている。しかし、なんとも妖狐が膝に手をつくとは奇怪で滑稽な姿である。
「妖狐も疲労を感じるんだな」
「そりゃあ当然、私は泉の思っている以上に、普通の狐なんだよ!」
「いや、そこは九尾志望のお前が胸を張っちゃいかんだろ……」
「あ! ノーカン、ノーカン!」
彼女は首を大きく振って、僕の指摘を否定する。
「そんなことより、立ってたら疲れないか? しばらく出発しないし、座ってもいいぞ?」
「嫌。服が汚れるじゃない」
いま僕が座っている道は白砂の道、コンクリートが敷かれていないので、恐らく、僕のお尻は今頃、真っ白になっているだろう。
「汚れるなんて、いつも汚れてもらっている地面に失礼だろう?」
「地面が私たちを汚しているんでしょ?」
「いいや、違うね。稲穂、お前は大地に向かってなんて失礼なことを言うんだ」
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