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「私は言われないよ」
「ああ、そうだった。人は言われるんだよ」
「ばっちいって何? バッター?」
「バッターだったら意味が通じないだろう……、汚いの方言だ」
「どこらへんの?」
「知らん。それより、地面は本来美しい自然の一つであるはずなのに、汚いと罵られる。隣の芝はなんとやらとは的確で、向こうにある景色の土は綺麗に見えるのに、自分の足元にある土には誰も手をつけたがらない」
「隣の芝は緑色に見えるんだっけ?」
「なぜか青色なんだ。信号機と一緒だな」
「なるほど。地面は確かに蔑ろにされているね」
「第三にーー」
「まだあるの!?」
「ーー、土の形はしばしば、望んでなもいないのに変えられる」
「掘削とか?」
「その上、都合のいい部分だけを取り出される」
「石油とか?」
「それなのに、人からは何も奪わない!」
「確かに、そう考えれば大地は人間の友人ってこと?」
「人間じゃない。生物全ての友達であるべきだ」
「ほほう! 私にとっても友達だね!」
彼女にそこまで言うと、僕は五メートルほど前方に転がっている、空き缶のゴミを指差した。
「あ、ポイ捨てだ!」
「今のお前なら、あれを見たらどう思う?」
「酷い! 悪魔の所業ね!」
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