お気に入りのワケ

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「ふん。二度とその面を見せにくるんじゃない」  店主が怒鳴りつけると、従業員らしき女性が訝しげな表情で彼を見やった。 「あのー、だれと話しているんですか?」 「いや、なんでもない。すまない。さあ、戻ろう」  店の奥へと引っこんでいく彼らを尻目にし、俺は数か月もしないうちに再び戻ってくる予感を覚えた。  いくら改装しても、ヤツに貧乏神である俺の姿が見えているかぎり、あの店はお気に入りのままだろう。いずれブームが去って、廃れるであろう日を楽しみに待ちながら、俺は繁華街をスキップで駆けていく。
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