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「お前やるなあ! まさか高橋さん連れてくるとはな! 蟻のなんとか堤防を壊すってやつだ」
「蟻すげえな」
「……でも登場が一緒だっただけで、全然しゃべってないじゃん。ホントに仲良くなったのかよ?」
「うるせえ」
痛い所を突いてくる、相方・啓太に睨みをきかせ、くじ引きで遠く離れた席にいる有紗に目をやった。
あの頃とは違って、有紗は愛想笑いを習得したらしい。
そういえば初対面の時は淳之介にもスマイル対応だった。
近頃じゃそんな営業的なソレはおみかけしない。
それは良いことなんだよな?
と、思いつつも他の野郎に笑顔を浮かべる彼女を見るのは面白くない……。
「ええい! 下がれ下がれ!」
淳之介はビールを片手にその輪に割って入る。
「もぉ! さたじゅん! 邪魔ぁ!」
呂律の回らないしゃべり方は酒のせいでは無い。
もともとこういう話方をする美菜が淳之介を押し返した。
「あっ」
持っていたビールがこぼれた……有紗の肩に……。
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