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「ほんとゴメン」
何度も何度も淳之介が謝る。
平謝りだ。
「大丈夫だって」
「ほんとゴメン。俺のシャツでよければ……」
「それは勘弁して」
ボタンを外しにかかる淳之介を有紗は本気で止める。
「大丈夫! カーディガン持ってるし」
有紗は笑顔だ。
……営業スマイルかもしれない。
「どうしたの?」
女子トイレの前であーだこーだ言っている二人の前に、プリンス山縣が現れた!
心なし淳之介の左眉が上がる。
「どうもしないって! 男便所ならそっちだよ」
「そうなんだ……じゃなくて、ほら後ろ。女性のみなさんが困ってるぞ。さたじゅんがそこにいるから」
気づかなかったが角を曲がった所に列をなす方々が見える。
「あ、ごめん。ありがとう」
半トーン声の上がる有紗に更に淳之介の眉が上がる。
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