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「……おぅい!」
「何!?」
「なにぼーーーーっとしてるんだよ!?」
今日はご機嫌斜めの淳之介が険のある言い方をしてくる。
仕事後、いつものような流れで一緒にご飯を食べる。
「はああ」
これみよがしに淳之介が溜め息を吐き出す。
「聞いてなくてゴメンったら。……今日の佐多くんなんだか……何なの??」
「何でも無い」
何でも無くは無いでしょ!? と言いたいけれどとりあえず飲み込む。
「…………」
初めて訪れるこの沈黙と気まずさ。
「……何か怒ってるの?」
「怒ってない」
「じゃあ、何なのよ!? その態度は? ハッキリ言いなさいよ!」
「う……」
「う……??」
『う』って何よ?
「何でも無いし」
そのムスッとした言い方が、有紗の堪忍袋の最後の紐をスパンと切った。
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