91人が本棚に入れています
本棚に追加
担当だった神谷さんが盲腸になって、急遽この目の前の人物が早田課長に連れられてやってきた。
だから提携先の会社の人……には違いない。
それ以外に自分に関係のある人。
大学? 高校?
……中学?
まさかの小学校?
どこで一緒だった人なのか全く思い出せない。
「ほら、西中の……」
西中!?
西中の…………?
同級生?
部活?
せんぱ……には見えないから後輩?
「……マジで思い出せない?」
こういう時どうして早く名乗った上で、どういう関係性の人間なのか端的に説明してくれないのだろうか?
人の記憶力を試すような、間をとるのは止めていただきたい。
それでも努めて有紗は営業スマイルを保つ。
口角が痙攣を起こさんばかりだ。
「1年と3年の時一緒のクラスだったじゃん。佐多淳之介」
さた…………じゅんのすけ……
「え!? それでも思い出せない!?」
「……すみません」
目の前のこの人が見るからに意気消沈する。
そんなに言ったって覚えてないものは覚えてないんだもの。
最初のコメントを投稿しよう!