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「ごめんね。少し仕事のこと考えてた」
ごめんねの返事はまだ来ないけど、怒ってるのか、気にしていないのか山縣くんの表情からは読み取れない。
佐多くんはわかりやすいくらいわかるんだけどな……
更に一歩山縣が有紗に近寄ると肩に手を置いた。
「!? なに? どうしたの? 山縣くん!?」
「……どうしたのって聞かれると……。俺とつき合ってる人にキスしたいなと思って」
有紗の顔から火が噴く。
つき合ってるんだもんね。
そうよ。
私、あの山縣くんとつきあってるんだもん。
憧れの山縣くん。
中学時代の私の王子様。
山縣が有紗の顔の前に少しかがみ込んだ。
反射的に有紗が一歩後退した。
「あ……ちょっと待って! ……やっぱりまだ早いと思う」
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