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網を挟んで二人はまるでお通夜状態だった。
苛立つ有紗とまさかOKが出るとは思わず緊張する淳之介。
しびれを切らしたのは有紗の方だった。
誘ったくせに、口を真一文字に閉じて目線の泳ぐ淳之介に鋭く切り込む。
「誘ってきたくせに何なのよ? その顔……。もぉー……! ねぇ、笑ってよ。……いつもみたいにへらへら笑ったらいいでしょ!?」
有紗がイライラを淳之介にぶつける。
「それは強制っすか? じゃあ、なるべくがんばるけど……」
ヘランと作り笑顔を浮かべる淳之介に思わず有紗の笑いが漏れる。
「その笑い方……!」
あ、うけた。
10年越しの願いはそういえば叶ってたんだよな。
俺の実力でもぎ取ったこの笑顔だ。
もひとつの願いは叶わなかったけどさ。
…………今は山縣のものだけどさ。
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