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「私……この前、山縣くんと別れた……」
「えええ!!??」
腹式呼吸で飛び出した声は有紗の耳にうるさく響く。
「声大きいよ」
「え? だって? え? 何で?? …………フラれたの?」
「フラれてません!!」
淳之介の間抜け面を有紗は睨みつける。
「もう最悪なんだから! 中学の時に憧れてた人だよ!? あんな素敵な人につき合ってって言われる事なんて私の人生でもう無いんだから! それなのに……私が見たいのはあのさわやかな山縣くんの笑顔じゃなくて、このヘラーーっとした顔だなんて、もう自分がバカ過ぎる!」
有紗の心の叫びを聞いて、わかりやすく淳之介が破顔した。
「…………マジで!?」
淳之介が立ち上がる。
「ヒャッファーーイ」とトングを持ったまま万歳する。
壁とふすまの上部は大きく開き、部屋は目線が通らないだけでほぼオープンだ。
「ちょっと個室じゃないからね!? 半個室だからね!?」
なんて分かりやすい人間だと有紗は思った。
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