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「高橋さん! 大す……!!」
慌てて有紗が淳之介の口に手を伸ばす。
「周りに迷惑だからいくらなんでもここで叫ばないで」
淳之介が自分の口元に当てられた、いい匂いのする有紗の手首を握った。
その手をずらすと頭を下げて有紗にチュッとキスをした。
「な……な……な……」
有紗の「な」を淳之介は聞き流す。
今度は静かに、驚く有紗の顔の真横でささやいた。
「大好きだ」
有紗の頬が赤くなる。
……超絶可愛すぎる。
「よし! …………店を出よう」
落ち着きを取り戻そうと有紗がしゃんと座り直した。
「何言ってるの。まだ一口も食べて無いじゃん」
ほら、お肉がこげちゃうと有紗がトングでひっくり返す。
「……あのさ、もう高橋さんじゃなくって有紗って呼んで。私も淳之介って呼ぶから」
少し照れた様に有紗が網から目を逸らさず呟いた。
「……もう何かが止まらなくなりそう……」
二人の間にある網焼きのテーブルを、飛び越えそうな勢いで淳之介が身を乗り出す。
「それは何かしらないけど、もうこれ以上は止めとこか」有紗が吹き出すように笑った。
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