4. 何かが止まらない

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「高橋さん! 大す……!!」  慌てて有紗が淳之介の口に手を伸ばす。 「周りに迷惑だからいくらなんでもここで叫ばないで」  淳之介が自分の口元に当てられた、いい匂いのする有紗の手首を握った。  その手をずらすと頭を下げて有紗にチュッとキスをした。 「な……な……な……」  有紗の「な」を淳之介は聞き流す。  今度は静かに、驚く有紗の顔の真横でささやいた。 「大好きだ」  有紗の頬が赤くなる。        ……超絶可愛すぎる。 「よし! …………店を出よう」  落ち着きを取り戻そうと有紗がしゃんと座り直した。 「何言ってるの。まだ一口も食べて無いじゃん」  ほら、お肉がこげちゃうと有紗がトングでひっくり返す。   「……あのさ、もう高橋さんじゃなくって有紗って呼んで。私も淳之介って呼ぶから」  少し照れた様に有紗が網から目を逸らさず呟いた。 「……もう何かが止まらなくなりそう……」  二人の間にある網焼きのテーブルを、飛び越えそうな勢いで淳之介が身を乗り出す。 「それは何かしらないけど、もうこれ以上は()めとこか」有紗が吹き出すように笑った。
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