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「1年の時に一緒だったのに2年で離れちゃったじゃん。高橋さんと。だからヨコピーにお願いしたんだよ。どうか3年では一緒にしてくれって」
「えっ!? ヨコピーって数学の? うちのクラスも数学ヨコピーだったよ! めっちゃ懐かしい! 久々その名前聞いた! よく覚えてるよね? あ、担任だったからだ?」
「そうそう、担任だったんだよ。ヨコピー……」
「あの独特のイントネーションが面白かったよね。それに気をとられちゃってさ、公式が頭に入らなくって……」
遠回しに何を言ってくんだと、有紗はあえてヨコピー話を広げる。
お酒が入って饒舌になった淳之介の、あからさまな話は止まらない。
「もしかして…で聞きたいんだけど……俺のこと苦手だった?」
そこ聞くの!?
「えーーーーーーーーっと……」
結構長く伸ばされた有紗の「えーっと」にもめげず、淳之介が言葉を続けた。
「……もしかして俺のこと嫌いだった……とか?」
「……それについてはノーコメントでいい?」
「うわー! マジか!? もう、それってめっちゃリアルじゃん……!」
淳之介は頭を抱える。
「そこはオブラートに包めないの? そんなこと無いよぉとか」
「なるべく嘘つかないようにして生きたいんだよね」
「そこは嘘つこう!」
オーバーリアクションの淳之介を見て有紗は笑った。
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