1. 距離感

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 佐多くんがぺらぺらと喋るもんだから、共同事業のとっかかりの作業を二人でやらされる事になった。 『同級生なら息ピッタリでやれるだろ! ハハハハ』  課長よ……同級生が息ピッタリとは限らないでしょ!?  でも仕事なのでもちろんそれは承諾する。  社会人ですから。  とはいえ……常にハイテンションの佐多くんは、案外仕事ができる。  …………失礼ながら。    アイディアも滑るように口から飛び出すし、かわいがられる性質のおかげなのか人脈も広い。  仕事に見切りを付けると、「打ち合わせの続きは、何か食いながらにしよう!」 と提案してくるのだ。  仕方が無いと、有紗はその「打ち合わせ」に同行する。  そんな生活が続くと、もう「打ち合わせ」は当然の流れになり、いつしか「打ち合わせ」という遠回しのお誘いから「今日何食べる?」という直接的な表現に変わっていた。
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