1. 距離感

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「そういやさ、3年のクラスの連中とはみんな連絡先交換したんだよ。ただ高橋さんには聞いてなくってさ。聞きに行こうとしたら啓太とかには止められたんだよ。絶対連絡先とか聞くなって。嫌がられるってさ……。もしあの頃聞いてたら……どう反応した?」  「そういう質問好きだよね? オブラートに包んどく?」 「それ言ったらもうおしまいじゃーん」  一人で漫才でもやってるみたいな淳之介が可笑しくて有紗は笑う。 「あの頃の俺がかわいそ過ぎる」 「佐多くんって面白い人だったんだね」 「今頃気づいたの?」  あの頃とは変わらない「佐多くん」 「……あのさ、よかったら淳之介でいいよ……。俺もありさって呼びたいしさ」 「大丈夫だよ佐多くんで。私も高橋さんのままでいいよ。仕事関係者なんだから」  ほんと面白い人だよねと有紗が笑い声を付け加える。 「…………」  距離感がひどいと淳之介は思った。     結構仲良くなれたと思ったのに。
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