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「おうお前、若い小学生の
お前はおそらく3万時間ほど小学生を過ごしているだろう
年に換算して3.4年だ
小学3年というのは世の中に絶望するにはちょうといい年齢だ
お前、世の中に不満ありそうな目をしてるな
にごった目だ、お前の目には、大人の世界はさぞ醜く汚く見えているのだろう
しかも子供の世界も嫉妬と暴力にまみれていて、とても生きやすい世界ではないことを、身をもって感じているのだろう、そんな目をしている
俺もそうだったから分かるんだ
何?俺はジジイじゃないかって?そうだ、俺はみっともなく80歳まで生き残っちまったみっともねえジジイだ
収入も低い末端の非正規雇用と立派だが建前と嘘だらけの正規雇用と束縛だらけのフリーを行ったり来たりした
夢も金も時間もなかった
無駄に3万時間を消費した
まったくどうしようもねえと思うよな
こんな大人にはなりたくねえと思うよな
それで正解よ
まあ大人なんてものはだいたいろくでもねえもんだ
それは金持ちであっても貧乏であっても
男でも女でもそれ以外でも同じだ
大人ってのはだいたいがしょうもねえ生き物、ただ単に『生き残った』産廃物だ
そして子供も同じだ
子供は社会的には弱く金も生み出せない
感情もコントロールできない
愚かでバカで言葉も持たない
そんな荷物みてーなもんだ
まさにいきがいい産廃だと言えるだろう
おお?お前またにらんできたな?
やるな小学生ながら怒りに満ちた目をしている
そうだそれでいい
小学生だからこそ感じ取れる怒りがあるだろう
大人のずるいところは自分が子供だった頃のことを平気で忘れてしまうところだ
これは本当にずるい
ほとんどの大人と言われている生き物は子供の延長に過ぎない
愚かさにやや知恵がのっかった程度だ
それでいながら子供に偉そうに説教する
俺のようにな!
くっくっく
嫌だろう
こんな大人にはなりたくないだろう」
老人は不気味な笑みを浮かべて、なおも話を続ける。
ああ、嫌だ嫌だ。
きっと活字にしたら句読点もまともに使えていないような喋り方だ。全く嫌になる。
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