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「誰って、自分の名前わかんねぇのかよ」
「……」
思い出そうとするも、少女の頭には何も思い浮かばない
(どうして……?)
「何も思い出せません……」
(私は……いったい誰なの)
「そっか。ごめんね」
「いえ……」
ふと少女は、彰に目線を送ると
彰も、黙ったまま彼女を見つめる
「どうやら、本当に記憶がないらしいな」
「はい」
彰は、後ろから何かを取り少女に差し出す
(刀……?どうして私に)
「それは、お前が持っていた刀だ。覚えはあるか?」
ゆっくりと首を横に降る
少女は動揺を隠せなかった
「何も……覚えてないです……。私、人を斬っていたのでしょうか……」
「ごめん。それはわからない。なにせ君とは初対面だからね」
「そうですか……」
もしかしたら、とんでもないことをしてきたのかもしれない
そう思うと、少女は不安の気持ちでいっぱいになる
「とりあえず、それはお前に返そう」
少女は刀を強く握る
「……ありがとうございます」
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