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「ねぇ、彰兄さん。この子どうするの?」
幸輝のその問いに 少女を一瞬だけ見る
「彼女は人間。何があるかわからないこの場所に居続けるのは、危ないのもあるな」
その言葉に、少女は少し驚きの表情を見せる
「だが、記憶がないままでは帰れないだろうな」
「あの………」
「なんだ?」
「私、危ないんですか?それに人間人間って、あなた方も人間なのでは?」
そう聞くと、翔太が吹き出す
「あははは」
「……?」
「わりぃ、そう言われるのが初めてなものでな」
「確かに、容姿はそう見えるかもしれない。だけど違う。僕らは人間じゃない」
「えっ?それじゃ……」
「鬼だ」
「……鬼?」
聞き慣れない言葉に耳を疑う
「信じられないって顔だな。証拠を見せよう」
そう言い、彰は静かに目を閉じる
その瞬間、微風が彼の髪をなびかせる
同時に、左右の額からなにかが現れる
ニ本の白き角に、少女は目を離すことはできなかった
そして、なぜか懐かしさを感じた
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