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「おい、そこの者」
振り向くと二人の男が立っていた
今にも抜刀し、かかってきそうな勢いだ
「見慣れぬ顔だな。何処の者だ」
「何処って、僕たちこの山に住んでるんだけど?」
「怪しいやつ。そこで何をしておった」
「別になにもしてねぇよ。ただ下を眺めていただけだ。ちょうどいい、あの村に何があったか知らねぇか」
「お前らには関係ない」
「あっそ」
男二人はさらに身構える
「まぁ落ち着け。お前ら仲間を探していただろ?それなら、さっきあっちに走ってたぜ。追ったらどうだ?」
「…貴様!」
ついに刀を抜いた
「やれやれ、あんまやり合いたくねぇんだがな」
「彰兄さん」
「分かってる」
さてっと男達と向き合う
「そんなにやりてぇなら相手してやる。かかってこい」
一人が一気に駆け寄り彰に刀を振り下ろす
それを彰は素手で受け止める
「なっ!」
「残念ながら俺にそんなもん向けても無意味だ」
そう言い人差し指で刀を弾き飛ばした
男は呆気にとられて尻餅をつく
もう一人も怯えて身動きが出来なかった
「なっ、何者だ?お前ら」
「君たち、相手が悪かったね。僕らの気が変わらないうちに去った方がいいよ」
「…覚えてろよ!」
そう言い飛ばされた刀を持って走り去った
「全く」
「手加減はしてやった。まぁ、人の刀じゃなきゃ出来なかったがな」
それにしてもと話を変える
「あいつら、村に火を放ったんじゃあねぇだろうな」
「え?あの人たちが?」
幸輝は二人が走り去った方向を見る
「わからんが、それをやりそうな気配だった」
再び、村を眺める
「この状況じゃあ何も得られねぇか」
「戻る?」
「そうだな」
二人は来た道を歩き始める
「幸輝。花子が住んでた所が燃えたかもしれないなんて話、絶対すんじゃねぇぞ。記憶がないのに更に混乱を招くからな。俺とお前だけの秘密だ」
「了解。口は固い方だから安心して」
その後、二人は無言で村へ戻った
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