第二章

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籠を背負いあるところへ向かう 「今日はこいつの収穫じゃ」 「凌さん。これって?」 「唐芋。今は薩摩芋か。そろそろ収穫しないとって思ってたんじゃ」 「じゃあ今日は焼き芋ですね」 「まだ日中は暑さがあるから無理じゃろ」 そう言われ、露骨に落ち込む (淕さん…残念…) 「あの、どうやって収穫するのですか?」 凌は花子に笑いかける 「まず儂がやって見せるから、よう見とき」 「はい」 葉の前まで来ると蹲踞の姿勢になる 「まずこの葉を切る」 持って来た鋏で次々と葉を切る そして鋤を手にし 「後はこいつで掘る。芋を傷つけないよう慎重にのう」 深めに掘っていく すると大きな薩摩芋が幾つか出てくる 「わぁ、凄いですね。大きいのが沢山」 「今回は大収穫かもしれんのう」 (凄い…。私にもできるかなぁ…) 「まぁ、お前さんじゃ大変そうじゃのう。力仕事はわしと淕に任せて、お前さんは薩摩芋を籠に集めてくれるか?」 「わかりました」 「よし。じゃあ、作業開始じゃ」 淕が葉を切り凌が土を掘っていく 出てきた薩摩芋を花子が籠の中へと運ぶ それと同時に切った葉も隅へ集める 「その葉っぱ乾燥させたら焼き芋に使えますかね? 」 「えっ、それはどうでしょう」 (聞いたことないよ) 「まだ焼き芋言っとんのか」 えへへと淕は笑う 「だって美味しそうですよ、その芋で焼き芋やったら」 (確かに美味しそう) 「でもやるなら、やはり落ち葉でじゃろ。もう少し落ち葉が集まるようになってからじゃ。でも今日は千尋に汁物の具でもしてもらおかのう」 「お、いいですね。焼き芋だけじゃあまりそうですもんね」 「それ、美味しいんですか?」 「お、知らん?かなりの絶品じゃぞ?」 「頬が落ちるほど美味しいですよ」 (そんなに美味しいんだ) 「決まりじゃ。なんとしてもあの絶品を食わせねぇとな」 「そうですね」 二人は微笑みながら作業を進める (二人はいつもこんな感じで作業をしてるのかな) そう思うと花子も微笑んだ
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