第一章

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「やれやれ、なんで肌寒い夜に歩かないといけないんだか」 栗色の少し長い髪を横に束ねた男が、両手を後ろ回しながら呟く 「仕方ないでしょ、翔太。仕事なんから」 「わかってるよ、幸輝兄。帰ったら寝よう」 「報告が先」 「へいへい、全く。面倒くせぇな」 見廻りの仕事を終え、ニ人は帰るところだ 「最近は何もねぇのに、なんで見廻りしなきゃいかんのかね」 翔太がそう嘆いた時、幸輝は足を止めた。 「幸輝兄?どうした?」 幸輝は何も言わず前を指差す その先には、少女が1人 うつ伏せで倒れていた 「誰?」 「知らない」 「なんで、俺達の屋敷の前にいんの」 ニ人は、恐る恐る少女に近付く 幸輝は顔を覗きこむ 「この子、人間の娘だよ」 「はぁ?人間?なんで人間がいんの」 「僕が知るわけないでしょ。…寝てるみたい。取り敢えず屋敷に連れていくか」 「屋敷へ入れるのかよ!刀持ってるし怪しいぜ」 「かといって、このままにして置けないでしょ。それに武器をこっちで預かればこの子は何も出来ない」 「ったく、わかったよ」 翔太がしぶしぶ了承すると 少女を抱えた幸輝と共に屋敷へ戻った
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