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「やれやれ、なんで肌寒い夜に歩かないといけないんだか」
栗色の少し長い髪を横に束ねた男が、両手を後ろ回しながら呟く
「仕方ないでしょ、翔太。仕事なんから」
「わかってるよ、幸輝兄。帰ったら寝よう」
「報告が先」
「へいへい、全く。面倒くせぇな」
見廻りの仕事を終え、ニ人は帰るところだ
「最近は何もねぇのに、なんで見廻りしなきゃいかんのかね」
翔太がそう嘆いた時、幸輝は足を止めた。
「幸輝兄?どうした?」
幸輝は何も言わず前を指差す
その先には、少女が1人
うつ伏せで倒れていた
「誰?」
「知らない」
「なんで、俺達の屋敷の前にいんの」
ニ人は、恐る恐る少女に近付く
幸輝は顔を覗きこむ
「この子、人間の娘だよ」
「はぁ?人間?なんで人間がいんの」
「僕が知るわけないでしょ。…寝てるみたい。取り敢えず屋敷に連れていくか」
「屋敷へ入れるのかよ!刀持ってるし怪しいぜ」
「かといって、このままにして置けないでしょ。それに武器をこっちで預かればこの子は何も出来ない」
「ったく、わかったよ」
翔太がしぶしぶ了承すると
少女を抱えた幸輝と共に屋敷へ戻った
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