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「知るのはあの娘のみ。そういうことなんだな」
「あぁ、そうだな」
あぁあ、と翔太は頭をくしゃくしゃ掻きながら
大きく声を漏らす
「なんか、すっきりしねぇな」
「仕方ないよ。持ち主はあの状態だから」
持ち主に確認しようにも今は眠りの中
いつ目を覚ますのかわからない
彰は煙管を手に取り、煙を吸い始める
「しかし、まさか人間の娘がこんな村に来るとはな」
「彰兄さん、娘をどうする?」
「しばらく様子見だな。まぁ、娘の好きなようにさせたらいいさ。ただ」
「ただ?」
「俺達の敵とみなせば、容赦なく斬る」
その言葉のあと、少しの間、沈黙が続いた
「彼女、人間だよ?」
「だからって油断は出来ないよ。幸輝兄」
翔太は少し真剣な表情で続ける
「油断大敵って言うじゃん」
「そうだね。翔太」
翔太を見ると、幸輝は少し苦笑いを見せる
「幸輝、翔太。報告は以上か?」
「うん」
「あとは、何もなかったぜ」
「そうか。なら下がっていい。しっかり休めよ」
「彰兄さんも、読書はほどほどにね。おやすみなさい」
そう言うと、ニ人は部屋を退出する
「ほどほどに……か」
笑みを浮かべると、彰は再び本をひろげた
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