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「ひと~つ、ふた~つ、み~っつ……」
数えながらテーブルに緑と赤のパッケージを並べていく。
ソレは現代日本ではありきたりでよくみるカップ麺。
レジ袋に入っていることからわかるよう、スーパーで購入してきたものだ。
持ち込んだのはウドンとソバを4個ずつ。
手元に赤いソバを1個残し、残りの1週間分をドロシーに譲渡する。
「これこれ、これがほしかったんだ~」
ドロシーは幼子のように顔をほころばせると薄いビニールに包まれた赤いカップにほおずりをする。
「ショーン、お水~」
「こちらに」
すでに次の展開を予想していたショーンくんは、水を入れた薬缶をカウンター上の鍋敷きに載せる。
ドロシーはカップ麺を抱きしめながらその場に向かい、トントントンと指先で鍋敷きを叩く。すると鍋敷きから赤い身体を透けさせた幼児が三人現れた。
人形サイズの幼児たちは協力して薬缶を持ち上げると、お尻をフリフリしながら愛らしく踊りはじめる。
彼らは火を司る精霊で、魔力を持った者が鍋敷きを叩くと現れるようになっているとのことだ。
ドロシーは薬だけでなく、こうした魔法の道具も製作している。
もちろん直接魔法を使ってもよいのだけれど、こうして繰り返し使う魔法は道具にしたほうが便利なのだとか。
ちなみにここに来る際に利用した羽も彼女のお手製だ。
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