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裏道に逸れると大神さんがわたしの手を取り、顔を見合わせてくすくすと笑みを零した。
「バレないかな」
「バレたら嫌だ?」
にやりと口の端を歪めた意地悪な顔すらも、今日は嬉しい。
「……ううん」
やっぱり微笑みを浮かべて握った手に力を篭めると、今度は照れくさそうに頭を掻いていて、その姿に余計に頬が緩んでしまった。
『二次会の後、ふたりで抜けよう』
耳打ちされた言葉の通りに、向かった先はあの日と同じ彼の部屋。
ドアが閉まるなり、暗闇の中キスが振って来た。
顔を両手で包み込まれて、何度も交わされる熱い口づけを受け止めていると、いつしか唇が開いて来てしまう。
「……んっ……」
濡れた舌を深く重ね、お互いの荒っぽい息遣いを感じながら、わたしは彼の首に腕を巻き付けていた。
「……ふっ、ん……」
暫し溺れるように感触を確かめ合い、脚の間に差し入れられた太腿にやはり身体の芯に灯った熱を思った。
湿っぽい唇が首から鎖骨へ降りて行き、ワンピースの裾から入り込む指先を認めると、火照った顔で漸く口にする。
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