結婚式の狭間に馨る

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色直しは和装と聞いていたので、少し崩れてしまった顔を手直ししてから戻ったが間に合ったようだ。 早々に色打掛に身を包んだ近藤と袴姿の綿部さんが登場し、余りに麗艶な晴衣裳に見惚れてしまう程だった。 花嫁の手紙が読み上げられると再び化粧は落ちてしまったが、祝宴は無事に幕を閉じ、同期と共に二次会が行われるレストランへ移動した。 新婦は落ち着いたパステルグリーンのカラードレス姿を披露し、やはり皆目を奪われていた。 メインテーブルに並べられたブッフェの料理を取り分けていると、隣に矢野くんが並び、背中を曲げて声を潜めた。 「宇佐美、さっき話してた続きなんだけどさ……おれ、前から宇佐美のこと、良いなって思ってて……」 顔を赤らめて目を合わせた彼に驚いたが、もう先程のように胸が騒ぐことはなかった。 「……わたし……本当は、心に決めた人がいるの。ごめんね。ありがとう」 伝えてくれた言葉は嬉しかったが、矢野くんの側を離れるとわたしの視線は自然と意中の人を捉えていた。 やはり周りに女の子が群がり何やら盛り上がっているようだったが、然して気にならなかった。 だって、わたしには約束があるのだ。 二次会がお開きになると、店の前に固まっている同僚達の隙を縫って目配せをする。 一行の目を盗んで、わたし達はそっと集団から抜け出した。
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