結婚式の狭間に馨る

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「それで、茉莉さんが関根さんのリーダーってのも繋がったしね」 「そうだったんだ……」 「うん、それで土曜日……」 話に聞き入っていると、何か言い掛けて視線を外す。 照れたように口元を押さえると黙りこくってしまった。 一瞬静まった空間に、窓の外をバイクが走り去る音を微かに拾った。 「……土曜日って、土曜出勤のこと?」 「ん、この話はやっぱいいや」 瞼を伏せて背けた僅かに紅潮した顔が意外で、いじらしくて興味をそそられた。 「なに? 教えてよ~」 今は気が大きくなっているらしく、自分でも驚く程に身を乗り出して目を輝かせてしまった。 「……上目遣いは、駄目」 「え?」 軽くデコぴんで制して来たが、めげずに眉を下げたまま見つめていると、観念したのか告白してくれる。 「……また土曜日にエレベーターで会えば、何か反応あるんじゃないかって、ちょっと待ってた」 気恥ずかしそうな顔が、眉根を寄せて睨んだ。 「……」 「全力で逃げるから、何か後に引けなくなって……」 前髪を掻き上げる仕草も相まって、目に映る人は色気よりも可愛さが勝ってしまい、思わず微笑が漏れてしまう。 「……ふふふっ」 「泣いてた癖に……」 「ご、ごめんなひゃ……」 頬を摘んだ前の人も吹き出して、暫しふたりで笑いが止まらなかった。
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