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「そう? いや別に大したことないんだけど、あの子何か落ち込んでたから~」
やや気恥ずかしそうに薄く笑って、自席へと戻って行った。
業務が開始され質問に来た福地さんは、今日は何処か凛とした面持ちでわたしの前に立っていた。
「宇佐美さん、あの……」
彼女は一度頭を下げ、顔を上げると僅かに頬を染めて向き直った。
「私、もっと頑張って行きたいです……! 改めてご指導、よろしくお願いします」
「……え、あ……こちらこそ、よろしくお願いします……」
真っ直ぐな眼差しに、どういうわけか熱くなって来そうな目頭を感じ取ると照れくさく、軽く顔を俯けた。
あの日、蒼真くんがくれた言葉が脳裏に蘇る。
『間違ってないと思いますよ。皆の働きを見て自分の役割を定めて、周囲を動かす。解ってくれてる人も居ると思いますよ』
人ときちんと向き合っていなかったと感じていたが、仕事は真面目に取り組んで来た。
彼女達にもまた、ひと泡吹かされることもあるだろう。
だけど、自分が真摯に人と向き合って行けば、いつか還って来るのかも知れない。
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