妄想からの現実

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業界最大手とは行かないけれど3番手内の業績は誇れるであろう、コピー機の販売、リース会社の本社に勤めて7年目を迎えている。 見た目も中身も真面目で平凡、天然パーマの爆発を恐れ髪はいつでもひっつめおだんご、仕事中はお洒落とは言い難い眼鏡を装着し、恐ろしくダサい制服も相まってか、30目前にいわゆる“お局”と影で噂される存在に……。 そんなわたし顧客管理部 請求課リーダー、宇佐美茉莉(まつり)には、“営業部の王子様”との異名を取る大神蒼真(そうま)をモデルに、自作したケータイ小説を黙読してから本人を眺め悦に入るという、とてもじゃないが口が裂けても言えない悪趣味な習癖がある。 「これで現実に経験がないってんだから、アイタタだよね……。元は悪くないんだから、もうちょい身なりに気を遣えば」 「……冷静に感想を述べないで……!」 まじまじとわたしの顔を眺めつつも、いつの間にやら定食を頬張っている同期に苦情を申し立てたが、説得力は皆無だ。 近藤には、これまたメガトン級の破壊力を持つ自分史上2大秘密を、あろうことかどちらも握られてしまっている。 何とも言えずやりきれない想いに苛まれそうになったが、無理矢理に脳内から追い出し昼食を頂くことにする。
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