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確かにわたしは詰まるところオタクで、草食系女子で喪女かもしれない。
間もなく29歳を迎えるにもかかわらず、婚活もせず趣味の小説に没頭し、彼氏が居たことすらないという、この体たらく。我ながら、女を全うしていないとすら思える。
彼女の言葉を脳内で認めたところで、視線を落としたわたしに気付いた近藤が僅かに焦った様子を見せた。
「……ごめん、言い過ぎ」
「大丈夫。事実だし、これはただの目の保養だもん。週2~3度こうして拝めるだけで」
やや気まずそうな表情を浮かべた彼女の弁解を遮り、何も気にしていない風に自嘲気味に唇を尖らせて息をついた。
一瞬頭に思い描いた過去の男性達が、鮮明に色づいては消えて行く。
本物の恋愛は妄想のようには上手く行かなくて、自分なりには努力したつもりだったけれど、どうもいつも間の悪さを感じていた。
結局わたしの好きな人は、わたしを好きじゃなかったらしい。ただそれだけだ。
高嶺の花は見てるだけ、関わらないのが一番、下手に首を突っ込めば傷付くのは自分だ。
「よく考えて、近藤よ……草食系男子が台頭して久しい……今時25過ぎて処女なんて珍しくもないし、何より妄想は裏切らない!」
重くなりそうな空気を茶化して顔を上げたわたしに、近藤もぱっと表情を明るくさせる。
“処女”の部分はさすがに声を抑えたが。
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