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「……確かにね。一理ある。周囲を見渡してみても、相手の居ない男女の何と多いことか」
嘆く彼女の額を押さえている左手には、石の付いた婚約指輪が煌めいている。
「……でもね宇佐美? だからと言って……免罪符にはならないんじゃないかな!? 女子が余ってるから男子も余って……ない! 良い男は売り切れる! 宇佐美、現実を見て!!」
先程までのしおらしさから一転、いつもの彼女の威勢が戻ったような空気に気圧され、椅子に座ったままながら仰け反りそうになった。
良くも悪くも正直過ぎるこの同期の剣幕に、顔を覆いたくなる。
「……ぷっ。あはははは!」
しかしこんな話題を濁すでもなく正面切って語る前の人が可笑しくて、顔を見合わせると堪らず吹き出してしまった。
他の人なら『幸せなあんたに言われたくないよ』と感じるだろうが、近藤相手だと何故か笑い飛ばしたくなるから不思議だ。
確かに妄想に逃げ込むわたしを放っておかない、彼女のおかげで辛うじて現実から目を逸らさずに居られるのかもしれない。
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