流星に眠る

2/2
前へ
/2ページ
次へ
今夜はおうし座北の流星群の観測が極大を迎えるという。よく分からないが、ともかく流れ星が見えるらしい。 時間も夜から深夜にかけてとちょうどいい。 22時過ぎ、いくつか持っている眼鏡のうち、一番度の強い眼鏡をかけてベランダへ出た。 オリオン座は唯一僕が見つけられる星座だ。空を見るととすぐそこにあった。そのまま視線を上に移していくとそこが放射点らしい。 ここから放射状に流星が広がったらどんなに素晴らしいだろう。 しかし瞬きを止めて放射点を見つめたが、何も見えない。雲はないがどうも空が明るく、他の星は見えるのだが、流星は見えない。 もしかしたら自分には見えないだけで、もう流星は四方に放射されているのだろうか。 ツイッターを確認してみたが、他の人も見えていないようだ。 僕は大学のラグビー戦を観るときに買ったオペラグラスを出してきて、再びベランダに立ち、一点を見つめる。 やはり、見えない。いつもそうだ。 二重の虹が出たとか、彩雲が見えたとかいうのは、そのニュースが出たときにはとっくに消えているし。 流星群今夜最大!とかいうニュースはよく流れてくるが、見えたためしはほとんどない。 一度だけは見えたことがある。その時もベランダで、いくつもいくつも流れるので夢中で見ていた。 もう寝る支度は終わっているし、このまま長時間待つほどの熱意はない。 僕は眼鏡を外して、ベッドに入る。 あのとき見つめたたくさんの流星を思い出すが、もうその映像は朦朧としている。僕はその様子を撮影できるような高度なカメラは持っていない。 どんなだっただろうか。とても綺麗で、感動したんだけどな。 今も僕のマンションへ向かって、流星は落ちてきているのだろうか。 そのうちにまどろみへ落ちていった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加