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南海電鉄を通学に利用し慣れ親しんでいるとはいえ、中百舌鳥駅自体は普段利用しておらず、新鮮な気持ちで構内を歩く。
全く利用したことがない訳ではないが、通学に利用している区間を『日常』として区分するならば、通学に利用していない中百舌鳥駅を含む区間は『非日常』としての区分が一番しっくりくる気がする。
「あ……。生徒会長……」
そんな中百舌鳥駅の改札口を恐る恐る抜けた先で、生徒会長の姿を発見する。
生徒会長を見つけ、思わず声が出てしまう。そんな私に気付いた生徒会長が、ゆっくりと近づいてくる。
「随分と早かったな、こんなに早く見つけるとは思いもしなかったよ」
「私も……本当にここにおられるとは思いませんでした」
私自身、まさか一発で当てることができるとは思いもしなかった。改札口前で顔を合わせているのは、興奮さめやらぬ私と呆気にとられている生徒会長。それは、何ともシュールな絵面とも言えるだろう。
「聞いてもいいかな? どうして俺が中百舌鳥駅にいると分かったんだ?」
「この企画と南海電鉄の共通点を考えたんです。企画は創立100周年記念、南海電鉄は100駅ある。だから『100』がキーワードかな、と」
「でも、それだけだと『百舌鳥八幡駅(もずはちまんえき)』という可能性もあるよね?」
「そうなんですよね。だからこそ、迷いました。最後まで。それで、この企画のウィークポイントを考えたんです。きっと、生徒会長を見つけるために目的の駅に複数人のクラス委員長が同時に着く可能性もあって、その時に誰が一番に見つけたのか公平なジャッジが欲しくなる時もあるのでは、と」
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