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「……え。ポケット時刻表?」
中にあるのは大量の生徒会特製南海電鉄ポケット時刻表。我が校の見慣れた校内風景をふんだんに用いた生徒会特製南海電鉄ポケット時刻表は、ざっと30冊から40冊はありそうだ。事態が飲み込むことが出来ず、呆気に取られた私に向けて生徒会長は不敵な笑みをこぼしつつ、言葉を続ける。
「クラスのみんなに配ってやれ。終電の確認にうってつけだろ?」
その言葉を聞いて、ようやく私の頭も動き始める。
「え、え……えええ? プレゼントって、文化祭の打ち上げ代全額補助だったんじゃ……」
まさか文化祭の打ち上げ代全額補助に匹敵する厚みの生徒会特製南海電鉄ポケット時刻表を巡って『謎解きステーション』を繰り広げていたのだろうか。思わぬ展開にたじろいでしまう私の様子を涼しい顔で見ていた生徒会長は、清々しいほどの笑顔で言い放つ。
「そうだよ、文化祭の打ち上げ代全額補助だよ。クラス全員で生徒会特製南海電鉄ポケット時刻表を持って、校長室に行けばキチンと校長先生から受け取ることが出来るよ」
シレッと指示を出す生徒会長の目を見て気付く。私は一杯食わされたのだ。
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