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「違う辰巳…。悪いのは僕だ…。我慢するから…キミの嫌がる事はしないから……、だから辰巳…、僕を嫌いにならないで…」
「ばぁか。これ以上どうしようもねぇくらいにはお前に惚れてっから安心しろ」
ぎゅうぎゅうと抱き締めてくるフレデリックの背をポンポンと軽く叩き、辰巳は金色の頭をもう片方の手で抱き締める。本当ならば辰巳が何を言おうとも劉を許せはしないだろうに…否、今でも許してはいないだろうフレデリックの最大限の努力はしっかりと伝わっていた。
もう十年以上前、自分が憎いというフレデリックに辰巳はその分愛してやると言ったその通りに、今でも辰巳はフレデリックが自身に負った苦しみの分も愛してやろうと思っている。
「お前、それ以上自分のこと責めるんじゃねぇよ。いくら愛してやるっつっても限界があっからな」
「辰巳が愛してくれるなら、僕はいくらでも僕を嫌いになれるよ…」
「阿呆か。勘弁しろよお前、自分を大事に出来ねぇ嫁なんぞ要らねぇぞ」
「嫌だっ!!」
むぎゅっとパワフルすぎる嫁に全力で抱きつかれて、さすがに辰巳の肋骨が悲鳴を上げた事は言うまでもない。
「おっ前…っ、マジで骨折れるっつんだよ…ッ」
「僕の事好き?」
「好きだっつってんだろぅが…ッ」
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