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教会の情事
悪魔教との戦いで負傷したヒロトについて教会の一室を使っていたランバートは、ふと身じろぐような気配に目を覚ました。
元々浅い眠りだったし、落ち着いたとはいえあまり安心出来る場所でもない。鍵はかけたが、いつでも起き上がれるように気配は巡らせていた。その感覚に触れるものがあったのだ。
「ヒロト?」
身じろいだのはヒロトの寝ているベッドだった。多分時間にして一時間程度の睡眠だ、起きたのかもしれない。
起き上がり、ベッドへと近づく。ランバートの方へ背中を見せていたヒロトは、近づく気配に一瞬身を固くした。
「どうしたの? どこか痛む?」
凍傷は治療されたが、体力の消耗や芯から冷えた事で満足に動く事はできないだろう。もしかしたらどこか痛むのかもしれない。思ってヒロトの肩に手をかけたランバートは、こちらを見たヒロトに驚いた。
「どうしたの!」
言葉もなく、ヒロトははらはらと泣いていた。普段はだるそうにしている目が、今は縋るようにこちらを見ている。何があったのか、ランバートにはよく分からなかった。
「痛む? それとも苦しい?」
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